公共経済学の核心は、効率性と公平性の観点から公共財や税制などの公的介入の在り方を分析・評価することです。
公共経済学は、政府がどのような役割を担うべきか、政策によって社会全体の利益をどのように向上させられるかを考察します。具体的には、以下の点が主要な論点となります。
- 公共財の供給: 公共財は、一人が消費しても他の人の消費を妨げない「非競合性」と、支払いを拒んだ人を排除しにくい「非排除性」をもつため、民間市場だけでは十分に供給されにくいという特徴があります。公共経済学では、政府がどの程度の介入を行い、どのような水準で公共財を供給すべきかを検討します。
- 外部性の内部化: 公共経済学では、環境汚染などの負の外部性に対して課税を行うことで、社会的費用を企業や消費者に負担させる仕組みを分析します。また、正の外部性(教育や研究開発など)には補助金などを検討します。
- 所得再分配と税制: 政府がどのような税制度や社会保障を設計して所得の格差を縮小し、同時に経済の効率性を保つかが重要なテーマです。累進課税やベーシックインカムなど、具体的な政策手段を用いて議論が行われます。
- 財政政策・公債: 景気変動に応じた政府支出や税制の調整、国債発行の影響なども公共経済学における主要な研究対象です。財政政策を通じて景気をコントロールする一方、将来世代に与える負担をどのように考慮するかが議論されます。
このように公共経済学は、社会全体の厚生を最大化するための政府の役割と、その政策における利点・課題を総合的に検討する学問領域だといえます。