弱体化するオールドメディアからAIで強化されたSNSへのパワーシフト

1 スポンサーが離れる未来と“番組”の縮小

今回の事件を受けて、今後、旧来メディアを支えてきたスポンサー企業が次々と撤退しはじめると、テレビ番組や大型企画に割ける制作費は確実に減っていくことが予想されます。これまでなら、華やかな演出や大勢のタレントを揃えるためにスポンサーからの多額の出資があったのですが、その資金源が縮小すれば、番組の内容はどうしても地味になりがちです。そうなると視聴者がますます離れていき、さらなるスポンサーの撤退を誘発する悪循環が始まります。こうした流れがある程度進んだ先では、テレビ局や新聞社が“看板コンテンツ”を生み出す力を失い、古いメディア形態の魅力が抜本的に低下してしまうでしょう。

2 個人や少人数のクリエイターが躍進する展開

一方で、SNSでは個人や小規模チームが自分たちの作品や商品を直接売り出す構造が定着しつつあります。テレビCMの枠を買わなくても、SNS上でユニークなコンテンツやアイデアを発信してファンを増やせば、企業を通さずに収益を得ることも可能になります。将来的にAIがさらに進化すれば、映像や音声の加工・編集が個人レベルでプロと同等に行えるようになり、かつ広告・マーケティングの要素まで自動的に最適化してくれる仕組みが普及するかもしれません。そうなれば、旧来メディアが果たしていた「多額の資金を投じて番組を作る」という優位性がほとんど意味を持たなくなる可能性が高いと言えます。

3 “芸能人”と“インフルエンサー”の境目が曖昧に

昔はテレビに頻繁に出ている人が有名になり、いわゆる芸能人として広く認知される構図でした。しかしSNSとAIの組み合わせがさらに広がると、テレビに出たことがなくても、個人の魅力や企画力だけで何万人、何十万人とファンを獲得できる例が増えるでしょう。そうなると、芸能人と一般人の線引きはあやふやになり、企業も「誰かをPRに使うなら、テレビに出るタレントよりSNSで数十万人を動かせる人を起用しよう」と考えます。結果として、旧来メディアの“番組でスターを生む”役割がさらに薄れ、その枠組みの外で力をつける人の方が注目される時代が本格的に到来するわけです。

4 AIがもたらすSNSのさらなる進化

現時点では、SNS上でAIを使いこなしている人はごく一部ですが、技術が進めばあらゆる個人や小規模の制作グループが高度なツールを活用できるようになるでしょう。動画編集やグラフィック作成だけでなく、視聴者の反応をリアルタイムで分析し、魅力的な投稿を自動生成するような仕組みも視野に入ってきます。こうした動きが定着すると、旧来メディアの大掛かりな番組制作が絶対的ではなくなり、SNS発のコンテンツが多様化かつ洗練されることで、スポンサー企業や視聴者がますますそちらに関心を向けるのは自然な流れです。

5 加速するパワーの移動と未来のメディア

今回の事件を機に、スポンサー離れが鮮明になり番組制作費が縮小することで旧来メディアは魅力を落とし、反対にSNS側は多種多様な個人がAIの力を得てパワーアップする形で勢いを増していくのではないかという展望が浮かび上がります。視聴者や読者はテレビや新聞をわざわざチェックしなくても、SNSで発信される面白いコンテンツや独自の視点を手軽に得るようになるため、旧来メディアを頼る理由はさらに減っていくでしょう。こうして生まれるパワーシフトは、遅かれ早かれ番組枠の存在価値を揺るがし、“芸能人”という肩書きも希薄にしてしまうと考えられます。いまはまだ実験段階にあるAI機能も、近い将来にはコンテンツ制作からマーケティングの細部にまで組み込まれ、SNSを主軸とした情報エコシステムを根本的に変える可能性が高いと予想できます。これはすなわち、“オールドメディアが弱体化するだけでなく、SNSとAIが手を組んで新たな時代を主導する”というシナリオが、より確かなものになることを意味しているのです。

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