関税や非関税障壁の核心

関税や非関税障壁の核心は、「自国(または特定の地域)の産業や経済を保護・促進するために、輸入品・サービスの流入を抑えたり、条件を厳しくしたりすることで国際競争力のバランスを調整すること」にあります。


関税・非関税障壁の目的と役割

  1. 国内産業の保護
    • 安価な輸入品が大量に流入すると、自国産業が価格競争に敗れ、雇用喪失や産業衰退に直結します。関税や非関税障壁を設けることで、自国産業を国際競争から一時的・部分的に守り、産業育成・維持を図ります。
  2. 政府収入の確保(関税)
    • 関税は輸入品に課される税金であるため、政府にとっては財政収入源となります。特に、新興国や発展途上国では、法人税など他の税収基盤が弱い場合、関税収入が重要な財源となることもあります。
  3. 政策・政治的目的の達成
    • 国際関係上、外交の駆け引きとして関税率を上下させたり、非関税障壁を強化したりすることで、相手国との貿易交渉を有利に進める手段として使われる場合もあります。

非関税障壁の具体例

非関税障壁は「関税以外の形で、輸入や輸出を制限・阻害する仕組み」です。代表的なものとしては以下があります。

  1. 数量制限(輸入割当、輸出割当)
    • 特定の品目に対して一定量以上の輸入を認めない、あるいは他国への輸出量を制限する措置です。
  2. 技術的規格・基準(品質・安全基準、環境基準など)
    • 輸入品に対して国内基準を超える厳しい安全基準や環境基準を課し、適合していない場合には輸入できないようにします。
  3. 手続き・認可の煩雑化
    • 輸入手続きや通関手続きを複雑化させたり、認可手順を増やしたりして、事実上輸入のハードルを上げる方法です。
  4. 補助金・助成金
    • 国内産業に対して補助金や助成金を与えることで、海外製品との差を実質的に広げ、国内産業を優位にする手法です。

まとめ

  • 関税・非関税障壁の核心:
    自国産業や国内経済を保護・活性化するために、輸入品を制限したり自国企業を優位に立たせたりすることで、国際競争のバランスを政策的にコントロールする点にある。
  • 関税:
    輸入品に課される税金。保護だけでなく、政府の財源確保の手段にもなる。
  • 非関税障壁:
    数量制限や規格・基準、補助金など、関税以外の手段で輸入を制限し、国内産業保護や政策目的を達成する手法。

結局、これらの障壁をどう設定・管理するかは、国内産業の保護と国際競争力の確保、さらには国際的な貿易ルールとの整合性といった複雑な利害調整の中で決まるものです。

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