外部性の核心は、市場における取引当事者が第三者へ与える影響(便益または費用)を十分に考慮せずに意思決定を行ってしまう点にあります。
【補足】
一般に、財やサービスの取引で生じる効果(プラスの影響やマイナスの影響)の一部が、その取引に直接関わらない人々に波及する場合を「外部性(externality)」と呼びます。たとえば、工場が生産活動で大気汚染を引き起こすケース(負の外部性)や、個人が受ける教育が社会全体の生産性向上につながるケース(正の外部性)が典型例です。
市場では、取引を行う当事者は自分たちのコストや便益を重視しがちですが、自分たちの行動が周囲に与える影響については完全に考慮しない(あるいは金銭的に評価・補償しない)場合があります。こうした影響が十分反映されないと、社会全体としては最適な水準を下回る(もしくは上回る)生産や消費が行われてしまい、「市場の失敗」が生じることになります。これは公共財や情報の非対称性などと並んで、政府の介入が必要とされる大きな要因の一つです。