独占・寡占の核心

独占(モノポリー)や寡占(オリゴポリー)の核心は、「少数の企業または単一の企業が、市場における価格や供給量などを支配できる程度の市場支配力を持つこと」です。以下、そのポイントを整理してみます。


1. 市場支配力の獲得

  • 独占(モノポリー)
    ある一つの企業だけが市場を支配し、競争相手がほぼ存在しない状態を指します。その結果、企業は価格設定(価格支配力)や供給量の調整などを自由に行いやすくなります。
  • 寡占(オリゴポリー)
    少数の大企業によって市場が占有されている状態を指します。複数企業が存在しても数が限られているため、各企業が互いの動向を強く意識しながら価格を設定したり、生産量を調整したりすることが可能です。

2. 価格・生産量決定への影響

  • 独占・寡占企業は需要やコストだけでなく、自社や他社の動向を踏まえた戦略的な価格・生産量の決定を行います。
  • とくに寡占市場では、競合企業同士で明示的・黙示的に協調して価格を維持(カルテルなど)したり、生産を制限したりすることで、市場全体としての利益を高めようとする行動が見られる場合があります。

3. 消費者や社会への影響

  • 高価格:競合企業が少ないことで価格競争が起こりにくく、消費者に不利な形で価格が高止まりする場合があります。
  • 供給量の調整:価格を引き上げるために意図的に生産量を抑え、市場を逼迫させることが可能になります。
  • 効率性の低下:競争圧力が小さいと、技術革新やコスト削減へのインセンティブが弱まり、生産の効率性も低下しやすい側面があります。
  • 社会的余剰の損失:価格が競争的水準より高いまま推移すると、消費者余剰(本来であれば消費者が得られた利益)が奪われ、社会全体としての経済厚生が損なわれやすくなります。

4. 独占・寡占が形成される背景

  • 規模の経済やネットワーク効果
    大量生産によるコスト削減効果や、ユーザーが多いほど価値が高まるプラットフォーム型ビジネスなどでは、“勝者総取り”の状態が生まれやすく、独占や寡占が形成されやすいです。
  • 参入障壁の高さ
    大規模な初期投資、特許やブランド力、政府の規制などによって新規参入が難しい場合、既存企業が市場を支配しやすくなります。

5. 規制や対策

  • 競争政策(独占禁止法等)
    価格協定(カルテル)や不当な取引制限などを規制し、市場競争を保護する仕組みが整えられています。
  • 企業分割・合併規制
    M&A(合併・買収)により市場支配力が過度に集中するのを防ぐため、政府による審査や承認制度があります。
  • 市場の自由化・参入促進施策
    国や行政が規制緩和やライセンス供与などによって新規参入を促進することで、市場支配力を分散させる狙いがあります。

まとめ

独占・寡占の核心は「市場での競争が不十分なため、少数(あるいは単独)の企業が価格や供給量をコントロールしやすい状態になる」という点にあります。これは消費者や社会にとって高価格や効率性低下、イノベーションの停滞といった不利益をもたらしやすいため、各国では競争政策や規制により市場原理を維持・促進するしくみが作られています。

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