ソロー・スワンモデルの核心

ソロー・スワンモデル(Solow-Swan model)の核心は、「資本蓄積(貯蓄)・労働人口(人口成長率)・技術進歩(生産性向上)が経済成長にどのような影響を与え、長期的にどのように水準が収束するか」を示す点にあります。具体的には以下のような特徴が重要です。

  1. 資本ストックと貯蓄行動
    • 一国の経済成長は、貯蓄率に応じて資本を蓄積することで一定期間は加速するが、資本に対する収穫逓減(限界生産力の逓減)が働くため、無限に成長が続くわけではない。
    • 貯蓄率が高いほど資本蓄積が進み一人あたり所得は上昇するが、長期の成長率そのものを高めるわけではなく、最終的には「定常状態(steady state)」に向かう。
  2. 労働人口(人口成長)の影響
    • 人口(労働力)が増えると、同じ資本ストックでも一人あたりの資本は減少し、全体の生産力に影響を与える。
    • 人口成長が高いほど、一定の一人あたり資本量を維持するにはより多くの投資(貯蓄)が必要になり、定常状態の水準に影響を与える。
  3. 技術進歩の外生性
    • ソロー・スワンモデルでは技術進歩は「外生的(exogenous)」と仮定されており、長期的な一人あたり所得の成長率は技術進歩率によって決まる。
    • 貯蓄率や人口成長率を変更しても、最終的な「成長率」には影響せず、あくまで「定常状態の水準」が変化する。
  4. 収束仮説(コンバージェンス)
    • 基本的なパラメータ(貯蓄率、人口成長率、技術進歩率など)が同じであれば、初期条件が異なっても長期的には同じ定常状態に収束する、という予測(収束仮説)を導く。
    • これが一国を超えた成長率の比較や、発展途上国が先進国に収束しうるかどうかの議論の基盤になっている。

まとめると、ソロー・スワンモデルの核心は「資本の限界生産力の逓減」と「外生的な技術進歩」を軸に、貯蓄率や人口成長率などのパラメータが長期の定常状態と一人あたり所得水準をどのように決定し、収束をもたらすかを示した点にあります。これは経済成長の基礎理論として多くの後続研究に影響を与えました。

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